「若手社員の定着率は高く、会社の業績も悪くない。社内の雰囲気も良いと感じている人が多い。」これだけ聞くと世間一般で言われるホワイト企業のような気がするかもしれませんが、こういった会社の経営者と人事担当者にも悩みがあります。
「将来の幹部候補と思っていた優秀な若手社員から辞めていく」という問題です。
本記事の要約
入社5年目以降ののエース社員候補が辞めると会社には痛手
3年以内の退職よりも、このケースでは入社5年目~7年目あたりで退職するパターンも少なくありません。
会社によって差はあると思いますが、入社5年目~7年目くらいになればプレーヤーとしては独り立ちをして、後輩の育成など将来マネージャーになるための訓練的要素が業務に含まれてくる時期ではないでしょうか。
営業職であれば30歳前後が現場での稼ぎ頭という場合もあるでしょう。いずれにしても、会社にとっては重要な存在です。
教育費用の回収という観点からも、3年~5年目あたりで投資分を回収し、まさにこれから会社に収益をもたらしてくれる存在です。それなのに、そのタイミングで退職されるのは、会社としてのダメージは入社1,2年で辞められるよりも大きいかもしれません。
エース社員が抜けてしまう会社は芋づる式退職を起こす可能性も高いです。エース社員が辞めて困っている方はこちらの記事もご覧ください。
・エース社員が辞めて困っている企業が確認したい3つのポイント
芋づる式退職を防ぐためには「成長予感」の充実を
さらに、優秀な社員が辞める会社では、芋づる式退職が起こることがあります。芋づる式退職とは、その名の通り、一人が辞めると芋づる式に退職者が続くことです。毎月のように辞めるというよりは、数か月のスパンを空けて1年間で数名が同じような理由で退職し、同じような企業に転職していくこともあります。
このような会社では、社員の離職理由の3大要素のうち「成長予感」が不足している可能性があります。
成長予感についてはこちらの記事をご覧ください。
離職理由の3大要素についてはこちらでも詳しく説明していますので、ここでは成長予感以外の説明は省きます。
成長予感とは、この会社で今の仕事を続ければ自分の描く将来像に近づけると感じていることをいいます。つまり、成長予感が不足している状態では「今の会社でこの仕事を続けていたら、自分の描く将来を実現できない」と感じているのです。
成長予感で辞める人が多い企業の特徴
成長予感不足に陥りがちな企業の特徴には、以下のような点が挙げられます。
・大企業
・官僚主義的な人事制度
・保守的な考え方
・給料は同年代の平均賃金よりも高め
・残業時間は少ない(残業規制が厳しい)
傾向としてはベンチャー企業よりも大企業に多い特徴です。
官僚主義的な人事制度であるが故に、若手からの大抜擢はされにくく、自分が何年後にはどの辺りのポジションにいるのかは見当が付きやすくなっています。
また、残業規制が厳しくて残業時間は少ない、休日出勤も滅多にないのも特徴です。これは大手企業を退職した人の多くが口にするのですが「自分はもっとバリバリ働きたいのに、無理やり早く帰らされる」というのが不満の一因にもなっているのです。
20代独身であれば、早く帰ってもやることはそれほど多くありません。また、給料も限られているので毎回飲みに行ったり勉強会に行ったりというのも現実的ではありません。
ぶら下がり社員ばかりにしないために
これらの特徴を持つ企業では、上昇志向が強く若手のうちから結果を残している社員には物足りなく感じてしまうために、離職するケースが多いのです。結果的に優秀な社員から辞めていき、残った社員は会社にしがみつくぶら下がり社員が多いなんてことにもなります。
また、大企業でなくても、年功序列の意識が強い会社や年齢が上がらないと責任ある仕事が任せられない会社でも同様の傾向があるのです。
社員の定着率を上げるためのポイントや、最近の若手社員が辞める理由についてこちらの記事でも詳細を説明しています。