ハーズバーグの二要因理論から考える4つの企業タイプ別、離職率の改善対策

編集部

今、人手不足が深刻化していると言われている中、離職率を改善する必要に迫られている企業も多いと思います。 離職率の改善には様々な改善策があります。 そして、取るべき改善策は、企業の状況により変わって来ます。 そこで、今回は企業を4つのタイプに分類し、タイプ別に離職率の改善方法をお伝えします。

あなたの会社はどのタイプ?ハーズバーグの二要因理論を元に企業を4タイプに分類

離職対策を考えるため企業を4つのタイプに分類するにあたり、ハーズバーグの二要因理論を活用した考え方をご紹介します。

ハーズバーグの二要因理論とは?

ハーズバーグの二要因理論では「職場の満足」に関しては、

  • 満足の要因
  • 不満足の要因

があると言われています。

満足の要因とは?

満足の要因には、達成感や仕事のやりがいなどが挙げられます。

満足の要因というのは、無くてもマイナスにはなりません。
一方で要因があった分だけ、プラスの方向に満足を積み上げていくことが出来ます。

不満足の要因とは?

不満足の要因には、給与、福利厚生、職場環境などが挙げられます。
これら、不満足の要因に関しては、どれだけ高めても一定レベルを超えるとそれ以上の満足にはなりません。

しかし、不足していると、不満足になります。

満足要因と不満足要因の関係性

満足の要因と不満足の要因に関しては、どちらかだけが非常に良いから、もう片方を疎かにして良いものではありません。

例えば、満足の要因である「達成感」や「やりがい」が非常に高いという状態だったとしても、不満足の要因である「給料」や「福利厚生」非常に低い状態になってしまうと、不満足を覚える方も多くなってしまいます。

逆に、満足の要因である、「達成感」や「やりがい」があまりない状態で「給料」が非常に高い場合には、不満は生まれませんが、職場には満足していないというような状態になってしまいます。

企業の4タイプ

我々カイラボでは、縦軸に満足要因、横軸に不満足要因としたマトリックスを利用し、企業を4つのタイプに分類しています。

  • 満足要因低い・不満足要因低い:ブラック企業
  • 満足要因高い・不満足要因低い:やりがい搾取企業
  • 満足要因低い・不満足要因高い:ぬるま湯企業
  • 満足要因高い・不満足要因高い:ホワイト企業

タイプ別、離職対策

ここからは、タイプ別に、どの様な対策をすればよいか?をお伝えしていきます。

満足要因低い・不満足要因低い:ブラック企業における離職対策

満足要因と満足要因もどちらも低く、充足されていない、ブラック企業に関して、対策をお伝えしていきます。

まず解消しなければいけないのは、不満足の要因です。
残業代や賃金のような、法律で定められている点をきちんと、法律に遵守する形で整備しましょう。

給与水準に関しては、「とにかく高ければ良い」というわけではありません。

この際、

  • 同一地域、同一エリアにある同じ業種の会社
  • 採用する人の定着離職率改善という意味で、採用競合の数字

を参考にした上で、給与、福利厚生を採用競合と同水準程度のレベルまで上げていくということが非常に大切になります。

不満足要因には、給与や福利厚生以外にも、「勤務時間」や「営業日数」も該当します。

「法律は守っているけれども、他社と比べると休日日数が少ない」というようなケースであれば思い切って休日日数を確保してみるというのも一つの方法です。

「休日にすると売り上げが減るんじゃないか?」と心配される方もいらっしゃいます。

しかし、多くの会社ではきちんと業務改善をすれば、営業日数減らした分の売上利益の確保は出来ます。
そのため、休日日数をきちんと増やした上で、働いてる人達が働きやすい環境を整える方が優先です。

満足要因高い・不満足要因低い:やりがい搾取企業における離職対策

続いては、やりがい搾取企業における、離職対策です。

やりがい搾取企業は満足要因が高くて不満足要因が低いという状態のため、企業文化として「やりがいを大切にする文化」があります。

そのため、この企業文化をうまく残しつつ、足りていない福利厚生の充実を図っていきましょう。

この際に大事なのは福利厚生や、給料、福利厚生、職場環境などの不満足要因を整えていくにあたり、

  • 会社のビジョンや理念から、何故このような制度を導入するのか?
  • なぜこういうやり方をするのか?

ということをしっかりメッセージとして伝えてあげてください。

このやり方を間違えると、福利厚生が少し良くなり働きやすくなったところに、ぶら下がってくる社員が出てきてしまいます。

こうなってしまうと、やりがいや達成感を重視する会社の良さがなくなっていってしまう可能性があるので注意が必要です。

また、制度を充実させても、過去にやりがいや達成感を大切にして育ってきた社員、会社の上長、管理職の方々が、

  • 制度を潰してしまう
  • 実際に活用させない

というようなケースもあります。

そのため制度を整えていく上で、このような管理職の方々への教育というのも大切になっています。

満足要因低い・不満足要因高い:ぬるま湯企業における離職対策

続いては、ぬるま湯企業への対策です。

ぬるま湯企業は、給料とか福利厚生、職場環境はそれなりに整おり、不満足要因は高い状態にあります。
しかし、やりがい達成感はあまりないというような会社です。

ぬるま湯企業に関しては、制度は充実してますので、制度はしっかりと守ったまま

  • 会社が進む方向性やビジョン、ミッションを改めてしっかりと策定
  • 方向性やビジョン、ミッションを会社員一人ひとりに浸透させる

ということが大切です。

この際、ぬるま湯企業の方が、会社を変えていく上で大手術が必要な場合が多くあります。

なぜなら、会社を変えていく中で、今までで会社のぬるま湯状態にぶら下がっていた社員の方々は辞める可能性もあります。

そのため、

  • 一時的に離職率高くなるかもしれないが、辞めてもいいのか?
  • そういう方々も辞めずに残ってもらのか?

を経営陣や人事の方々がしっかり判断をする必要があります。

ただ、確かに言えることは、今現在はある程度福利厚生も充実していますが、

  • 景気の変動
  • 業界構造の変化

などがあれば、今の利益体質は維持できないかもしれません。

そうなってしまうとやりがいもない、福利厚生なんかも今より充実できない、単純なブラック企業に変わってしまう可能性もあります。

そのため、今のうちから次に向けた手を打つというのが大切です。

満足要因高い・不満足要因高い:ホワイト企業における離職対策

そして最後ににホワイト企業になります。

ホワイト企業に関しては、満足要因、不満足要因どちらも高い状況にあります。
直近の大きな問題がないからこそ、長期的な目線で対策を打っていくことが大切です。

そのため、既に人気の高い企業は、色々な新しい取り組みを行っています。

グーグルを例にあげると、

  • 20%ルール
  • マインドフルネス

といった考えや制度をどんどん取り入れていますよね。

既に人気が高くて働きがいのある会社ほど、新しい施策を探して、「もっと改善していこう」という方向で動いています。

そのため、現状で不満足要因、満足要因、どちらも高いという会社ほど今後を見据えた改善というのが大切になってきます

過去の成功体験に縛られず、離職率の改善を進めていく

大切なのは、4つのどのタイプにしても、過去の成功体験に縛られず、愚直に離職率の改善を進めていくということです。

例えば、やりがいもなく福利厚生も充実していなかったブラック企業が、「とにかくやりがいなんだ、達成感なんだ」とやりがいを大切にした結果、やりがいがみんな持ってるっていう会社に出来たとします。今までのやりがいも福利厚生も充実していない状況より会社は良くなりました。

そこからさらに改善をしようとした際、過去の実績に縛られていると、やりがいを追求しようという方向に走ってしまいがちです。

しかし、会社の現状としては、不満足要因(福利厚生)が不足している状況なので、離職率の改善という意味では進むべき方向が間違ってしまうケースがあります。

大切なのは、満足要因、不満足要因の2つ観点から、「自社に足りないのがどういう要素なのか?」を考えた上で重要なところにお金と時間を投下し、働きやすい会社、そして働きがいのある会社を実現してください。