厚生労働省から新規学卒者の3年以内離職率が発表されました。今回発表されたのは3年前の2015年に新卒入社した方々のデータです。

 

統計的にはほぼ例年なみ。直近20年の平均よりはやや低い傾向。

大卒者の3年以内離職率は31.8%で昨年比0.4ポイント減となっています。

ちなみに、統計をとりはじめた1987年卒以降の3年以内離職率の平均値は31.3%ですが、直近20年間に限定すると3年以内離職率は36.6%です。直近20年間の中では今回の31.8%という数字は比較的低い数字と言えそうです。

 

 

厚生労働省発表のデータより作成

 

業種別では宿泊業・飲食サービス業が6年連続トップ

 

業種別のデータも発表されています。厚労省発表のデータをもとに作成したのが上の図です。

宿泊業・飲食サービス業は昨年よりも微減して6年ぶりに50%を切ったものの、6年連続のトップ(その他の業種を除く)になっています。

 

昨年比でもっとも離職率が上がったのは情報通信業で1.4ポイントの上昇。SEの人手不足のために、2~3年くらい経験を積むと次のステージに進む人が多いのでしょうか。もしくは、労働環境の厳しさから転職していく人が多いのか。このデータだけでは詳しい理由はわかりませんが。

 

逆に離職率が下がったのは生活関連サービス業・娯楽業です。昨年から1.3ポイント減少しました。昨年は宿泊業・飲食サービス業に続いて2番目に離職率が高かったのですが、今年は第3位と若干改善(?)されています。

同じく不動産業・物品賃貸業も1.3ポイントの減少となっています。6年連続の減少となっていて、かつては40%近かった離職率が全体平均にかなり近くなってきているのが特徴的です。

 

一方、昨年3番目に高かった教育・学習支援業は0.8ポイントの上昇で46.2%となり業種別で2番目の高さです。実は、教育・学習支援業はかつて宿泊業・飲食サービス業よりも離職率が高いこともありました。

 

人事担当の方は自社の3年以内離職率の水準を知る一つの指標に

新卒の3年以内離職率については「3年3割」という言葉が有名なため、3割を超えると高いと感じてしまう方もいますが、当然業種によっても差があります。人事の方などは自社の3年以内離職率の水準をしる指標として業種別の平均と比較してみてもいいと思います。また、厚生労働省は従業員数別のデータも発表していますので、そちらも参考にしてみてください。

 

大切なのは離職率の高低ではない

私は早期離職対策のコンサルティングをしていますが、離職率が低ければ低いほど良いというわけでもないと思っています。大切なのはその中身です。カイラボでは早期離職をポジティブ離職とネガティブ離職に分類していますが、ポジティブ離職が多い分には大きな問題はないと思います。

問題はネガティブ離職が多いケースです。ネガティブ離職が起きている原因を知り、組織全体で改善していく必要があります。

 

※ポジティブ離職とネガティブ離職についてはこちらの記事をご覧ください。

 

平均値と比べるのは一つの目安としては良いのですが、平均値よりも高い低いだけで一喜一憂するのはやめましょう。