先日、某業界の若手経営者のみなさまへ「人材確保が経営課題の時代」という、なんとも仰々しいタイトルで90分のセミナーに登壇してきました。講演60分、グループワーク30分。

参加者の会社の規模や創業年数など多種多様で、定期的な新卒採用をしている会社もあれば、新卒は基本的に採用していないという会社もありました。共通していたのは、みなさん人材確保については高い関心を持っていること。北は北海道から、南は九州まで全国各地から約30名の参加者です。

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企業で管理職の方向けや、人事の方が集まる場でお話ししたりすることは多いものの、経営者だけ30名の前で話す経験はあまりなかったため、資料もいつもと内容を変えてみました。私自身にとってもちょっとしたチャレンジなのです。

 

前段として、なぜ働き方改革が推進されているのか、社会的な背景からお話しし、今の新入社員が育ってきた時代背景や意識をクイズ形式で出題。残念ながら今回も全問正解者は出ませんでした。今まで100回以上、若手社員についての○×クイズをやっていますが、今のところ全問正解者はいません。○×2択を5問なので、確率的には2の5乗だから、100回やっていれば1人くらいいてもおかしくないのですが、みなさん若い人への先入観があるのか、なかなか全問正解者は出てきません。

 

経営者のみなさんは正解できなかったことが悔しかったのか、後日メールで「私は全問不正解でした」とか「2問だけ正解できました」と感想を送ってくださる方もちらほら。セミナーや研修は受講しただけではその効果を持続させることは難しいですが、悔しい体験とか驚く発見をしてもらえれば、きっかけづくりとしては高い効果があると思っています。

 

講義後のグループワークは早期離職白書の内容をもとにつくった、ロールプレイング。今回は時間の関係で一部端折りましたが、優秀で評価もされている人が突然辞めるという多くの会社で一度や二度は起こる事態への対応について事例をもとに意見交換してもらいました。なかなか興味深い意見が多かったので、これはこれでいずれまとめようと思います。何名かの経営者の方は「優秀過ぎてうちの会社のキャパを越えてしまったことはあった。」と言っていたのが印象に残っています。中小企業ゆえの苦労なのかもしれません。

今回はさすが経営者のみなさんなので、様々な意見が出てきましたが、以前ある企業の管理職研修で同じようなグループワークをしたときは、対策が「とりあえず飲みに連れて行く」しか出てこなかったなんてことも。。。10人弱の管理職がいて、対応策が「飲みに行く」一択というのは、なんだかすごいなと思ったと同時に、これは人事部長が管理職教育を重要課題にするわけだなぁと思ったこともありました。

 

飲みに行くのが悪いとは思いません。私も飲むのは好きです。でも、なぜこの人に対しては飲みに行くのがいいと思ったのか、他の選択肢はないのか?他の選択肢も用意しておくことが人材確保には重要だと思います。

 

人材確保や定着支援はある程度トップダウンでやらないと進まないことが多いです。人事部長だけが必死になっていて、経営陣は傍観だと大抵うまくいきません。今回のような中小企業の経営者のみなさんに直接的にアプローチできる機会は重要なので、これからは今回のような機会も増やしければ、中小企業の定着率の向上に少しは貢献できるのかな。