最近よく耳にするキーワードのの一つに「OODA(ウーダ)ループ」があります。
一般的にはPDCAと対比されることが多いOODAですが、人材育成にも活用できます。
人材育成にはさまざまな考えやフレームワークがありますが、今回は「OODA(ウーダ)ループを活かした人材育成」についてご紹介します。
本記事の要約
OODAループとは
OODA(ウーダ)ループとは、
・Observe=観察
・Orient=情報適応
・Decide=意思決定
・Act=行動
の4つのイニシャルを取ったもので、元々は意思決定の方法として提唱されました。
PDCAサイクルと比較されることがありますが、OODAループの大きな特徴として一番最初に観察(Observe)からスタートすることが挙げられます。PDCAサイクルでは、はじめに計画することから始めますが、OODAループでは、まずは対象を観察するところから始めます。
動画解説
この記事は動画でも解説をしています。10弱の動画ですので、是非動画もご覧ください。
人材育成にOODAループを活用する
OODAループを人材育成に活用する場合には、具体的にはどんな行動になるのか、プロセス別に解説していきます。
観察(Observe)
観察(Observe)の段階では、「育成対象者の状況を観察し情報収集をする」ようにしましょう。
たとえば、
・その人がどんな発言をしているか
・どんな場面でどういう行動をするのか
・入社前と現在では、どんな変化があるのか
など、育成対象者の観察から始めてみてください。
観察をした情報を元に育成対象者の性格や思考特性などを考えていきます。
Orient 情報適応
次に、情報適応(Orient)では、収集した情報と社内の状況から育成の基本方針を考えます。
社内のリソースと照らし合わせながら、
・どの先輩社員をOJT担当にしたら、うまくいきそうか
・パフォーマンスがあがりそうな部署はどの部署か
・教育するためには、どんなアプローチが良さそうか
など、育成の基本方針を考えていきます。
意思決定(Decide)
意思決定(Decide)のフェーズでは、具体的な育成の方法を行動レベルで考え、決定していきます。
このフェーズでは、できる限り、具体的な行動に落とし込むことが非常に大切です。
たとえば、
・視覚優位な方なので、文字で伝えた方がいい
・聴覚優位なので、できる限り言葉で伝えるようにする
・教える時には、一つずつステップバイステップで教える
など、なるべく具体的な行動レベルで考えていきます。
「都度教えていく」や「面談を定期的に行う」などではなく、より詳しく具体的にどんなことを行えればいいのかがわかるように決定してみてください。
行動(Act)
最後に、意思決定(Decide)のフェーズで決定した行動を実践していきます。
人材育成でもっとも大切なのはObserve
私たちカイラボでは、人材育成でもっとも大切なのはObserveだと考えています。
ただ、ここまで読まれた方の中には「部下を観察するのなんて当たり前でしょう」と感じた方もいらっしゃると思います。たしかに、普段から先輩上司の方であれば部下や新人の方を観察されているかと思いますが、ここでは観察する際の注意点についてお伝えします。
決めつけをしない
「あの子は入社時にこんなことを言っていたら、きっとこんな子だろう」
「あのくらいのことが出来ないから、能力もやる気もないはずだ」
など、はじめから決めつけをしている方がいますが、NGな行動なので注意しましょう。決めつけをしていると、観察しているようでも自分に都合の良い情報だけをみてしまっている場合があります。
他にも
・今どきの若者は・・・
・今年の新卒ってだいたいこのレベル・・
など、新人の方を一括りにして決めつけてしまっていないかどうかも意識してみてください。
自分の目と耳で聴く、感じる
決めつけや先入観を排除するには、自分の目と耳で聴く、感じることが大切です。
観察する場合には、決めてかかるのではなく、相手の話を傾聴し相手がどんな方なのかを考えるようにしてみてください。傾聴することで、初めの印象と比べて違って見えてきたりするはずです。
人材育成における情報収集の方法
次に、観察するための情報収集の方法について解説していきます。
具体的には
・面談・1on1
・アセスメント・サーベイ
・入社時の面接官のコメント
などが挙げられます。
面談・1on1
最近では、実施している企業も増えてきている方法の一つです。相手の方と一対一でお話をすることで、相手のことを知る方法です。また、相手のことを知るだけではなく、相互理解も深まることもあります。
アセスメント・サーベイ
アセスメントやサーベイを活用して、新人の方の価値観や強みなどを理解していく方法です。コミュニケーション時に注意すべき点がわかったり、パフォーマンスがあがりそうな配属先の参考資料としても有効で、定量的にデータ情報を取れるのが大きなメリットです。
入社時の面接官のコメント
入社時の面接官のコメントからも、情報収集できるでしょう。
たとえば、
・面接官がどういう印象を受けたのか
・申し送り事項は、どんなことがあったのか
などを確認しておいた上で、現在の様子を観察すると違う味方ができるかもしれません。
データと観察した情報のバランスが大切
新人の方がどんな方なのかを考える際には、データと観察した情報のバランスが大切です。
アセスメントやサーベイなどを活用して、定量的なデータを参考にして育成の方針を考えていくことは、もちろん大切です。
しかし、データだけからすべて新人の方の価値観や強み、相性などがわかるかと言えば、そんなことはありません。
そのため、データだけではなく、面談などを通じて情報を引き出すことも大切にするようにしましょう。自分で観察した情報とデータをバランスよく参考にしながら、新人の方の育成に臨んでいってください。
まとめ
ここまで、人材育成にOODAループを適用した場合の具体的な行動や注意点について解説しますが、最後に実際に行う上で大切して欲しいことをお伝えします。
情報をアップデートしながら常にループを回し続ける
OODAループも人材育成も、一回やって終わりではなく何度もループを回すことが非常に大切です。
観察(Observe)→情報適応(Orient)→意思決定(Decide)→行動(Act)の4つのステップをやってみたものの、うまくいかなかったことや思いもよらなかったことも、たくさん出てくるはずです。
うまくいかないことは悪いことではなく、人材育成においては人間を相手にしているため、思いもよらないことが起こるのは、当たり前のことです。
事前に観察した情報と違っていたり、意思決定したことがうまくいかなかった際には、情報をアップデートし、またループを回すようにしましょう。
小さな変化に気づくこと
情報をアップデートしながら常にループを回し続けるには、小さな変化に気づくことが大切です。
そのためには、面談だけではなく、
・普段のコミュニケーション
・職場全体で育成に取り組むこと
などが重要になってきます。普段からコミュニケーションの頻度を大切にして、小さな変化を職場全体で気づけるようにしてみてください。