リモートワークの拡大によって聞かれるようになった「リモハラ」。
どのような行為や発言がリモハラになるのか、まだよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、部下と上司にリモハラだと思う行為について調査した結果から、リモハラの具体的な事例やリモハラをしないためにどういったことに気をつけたらよいかなどを解説していきます。
本記事の要約
リモハラとは?
リモハラとは、リモート・ハラスメントの略です。
ハラスメント自体は厚労省で定義されていますが、リモハラに関してはまだ明確な定義がありません。
一般的には、リモートワークなど遠隔で仕事をしている社員に対し、オンラインを介して行われるハラスメントがリモハラであるとされています。
リモート環境だからこそ行われているパワハラ、セクハラは特にリモハラだということが言えますね。
部下が思うリモハラ上位項目
部下がリモハラだと思う行為の上位5項目を紹介します。
- 第1位 カメラを常時接続させる 86.0%
- 第2位 部屋全体を映すよう求める 84.0%
- 第3位 体型を話題にする 74.7%
- 第4位 部屋にあるものを話題にする 72.0%
- 第5位 同居人、生活音を話題にする 68.0%
では、上司と部下の間にリモハラに対する認識の違いはあるのでしょうか?
次項で上司に対して行った同様の調査結果をご紹介します。
上司が思うリモハラ上位項目
次に、上司がリモハラだと思う行為の上位5項目を紹介します。
- 第1位 カメラを常時接続させる 82.0%
- 第2位 部屋全体を映すよう求める 80.0%
- 第3位 体型を話題にする 76.7%
- 第4位 部屋にあるものを話題にする 75.3%
- 第5位 同居人、生活音を話題にする 74.0%
数字は若干異なるものの、部下の結果と同じ項目が同じ順位で並んでいます。
つまり上司・部下に関わらず、これはリモハラに当たると思っている行為は同じだということです。にもかかわらず、現場ではリモハラが起こっているというのが現状です。
もっとも嫌だったリモハラは?
次に、具体的なリモハラの内容についてみていきましょう。
ここでは、大きく3つを挙げています。
容姿、服装について
例えば「太った?」「普段、家でそういう服着てるの?」など体型や服装について聞かれたケースです。
人によっては外出自粛によって体型が変わってしまったり、私服でテレビ会議にでることもあるでしょう。とはいえ、オンラインでいきなり体型や私服のことについて言われて、うれしいと感じる人はどれだけいるでしょうか。
自分が言われて嫌だと思うようなことは、言わないほうがよいでしょう。
自宅について
部屋に飾ってある絵についてうんちくを長々聞かされた、入った生活音から家族が何をしているのかを聞かれたなどのケースです。
普段から会社でプライベートや自宅での話をオープンにしている人なら問題ありませんが、そうでなければそこはあまり知られたくないことかもしれません。
プライベートなことは、業務上関係がありません。こういったことでコミュニケーションをとろうとすると、相手を不快にさせる可能性があります。
業務管理について
「いちいちチャット上で挨拶することを求められた」
「電話に出られないとチャットですぐ状況を確認してきた」
など、と業務管理に関するケースです。
このような業務上のルールも、目的が社員に正しく伝わっていればいいのですが、目的や理由が伝わっていない場合はリモハラととらえられる可能性もあります。
例えば、ちょっとお手洗いに立っていて業務の電話に出られなかった時、折り返そうと思っていたのにすぐチャットで「今何をしているの」と連絡があったというケースもあります。
聞き方の問題もありますが、普段からの信頼関係の有無やコミュニケーションがうまく取れていない状況が、リモートのこういった場面で表出化してリモハラとされることがあります。
リモハラの定義は明確に決まっているわけではないので、どこまでがリモハラなのかというのは難しいではありますが、まずはこれらの事例を嫌だと感じている人がいるということを知っておくことが大切です。
ちなみに、私たちカイラボでは始業時(人によって業務開始時間はまちまちです)にチャットへ挨拶を入れるようにしています。目的は出勤管理のためでもありますし、今日は誰が連絡がつきやすいのかを全員に周知する意味合いもあります。
リモハラをしないために
リモハラをする側の言い分は、だいたい決まっています。
「コミュニケーションをとるつもりだった」
「場を和ませたかった」
「悪気はなかった」などの意見が多いです。
厳しい言い方ですが、すべて言い訳でしかありません。
リモハラをしないために大事なことは、相手がどう感じるかを想像することです。
自分がどう感じるかではなく、年齢、性別、立場、価値観の違う相手がその行為をどう感じるか想像することが大切です。
例えば、
20代の女性部下が50代男性上司から「部屋全体を写してほしい」と言われたらどう感じるでしょうか?
「自分はそう言われたとしても特にリモハラだとは思わない」という感覚で考えるのではなく、自分が相手の立場だったらどのように感じるかを想像してみてください。
まとめ
リモハラは、リモートワークの急速な拡大で顕著になってきたハラスメントの一種です。
中にはリモートワークを縮小させていく会社もあると思いますが、リモートワークの波は確実に広がっているため、今後もリモハラに関する問題がなくなることはないと思います。
リモハラに限らずハラスメントをなくすためには、相手がどう感じているのかを想像することがなによりも大切です。
また、無用なルールがハラスメントの温床になることもあります。
例えば社員に業務時間外でも常時カメラを接続させるというのは異常なことでしょう。
ルールの目的が明確で、社員も納得していればいいのですが、社員の納得が得られていない場合はハラスメントととらえられがちです。会社と個人との信頼関係、普段のコミュニケーションの状態、このようなことが試されてくるのではないでしょうか。
今回は、リモハラの調査をもとに実際にどういった行為がリモハラになるのか、実際にどういう発言をリモハラととらえる人がいるのかをお伝えしました。
これを機会に、ぜひリモハラのない快適な職場をつくっていってください。