よく大卒の離職率について「3年3割」といった言葉を耳にしたことはありませんか? 間違い・・・ではないですが、大企業と中小企業を比較した時そう一概にも言えない数字が出ています。
そこで今回は2022年10月28日に厚生労働省が発表した資料を基に「企業規模別の早期離職率」についてお伝えします。
こちらの記事はYouTubeにて動画解説もしております。
本記事の要約
2022年10月28日発表 従業員規模別の早期離職率
以下は、2022年10月に厚生労働省が発表した「大卒における従業員規模別の早期離職率」のグラフです。
縦は早期離職率、横は従業員の人数を表しており、一番左グラフ「31.5%」は全体の平均値です。グラフを見ての通り、従業員の数が多くなるにつれて、早期離職率のパーセンテージは下がっています。
つまり、“社員数が多い大企業の方が人は辞めない=早期離職率が低い”ということを指しています。しかしこれは今に始まったことではありません。33年ほど厚生労働省が統計をとっていますが傾向は変わっていません。
冒頭でもお伝えしたように、大卒の離職率について「3年3割」とよく言われますが、グラフの数字を見てみると、大企業は25.3%。いわゆる「3年3割」には当てはまっていません。
いつもの通り・・と思いますが近年、気になる傾向があります。
大企業では早期離職率が上昇傾向?
下記は、大卒における従業員規模別の早期離職率の推移を表したグラフです。
青い線が全体平均、赤が100人~499人の事業所(中小企業)、緑が1000人以上(大企業)です。
このグラフを見ていくと、赤(中小企業)と青(全体平均)のグラフは“ほぼ横ばい”ですが、緑(大企業)のグラフは2009年以降、“右肩上がり”に。
大企業の方が離職率が低いのは確かな事実なのですが、低い中でも少しずつ上昇傾向にあることが分かります。
・・・ということは、中小企業と大企業の離職率の差が縮まってきていることを意味しますが、それを表したグラフが以下になります。
このグラフは、近年の大卒における早期離職率全体平均と、1000人以上の事業所の差を表しています。
2003年卒~2019年卒の17年間を記録したものですが過去の最大値は10.0pt。ptの数値が高いほど差があることになります。たとえば全体平均が30%で1000人以上の事業所は20%だった場合、10.0ptになります。
しかし、今回の最新統計では過去最小を記録。6.2ptという結果になりました。見ても分かる通り確かにグラフは右肩下がり。その差が縮まってきていると言えるでしょう。
2018年卒と2019年卒の比較
ちなみに以下のような資料もあります。
2018年卒と2019年卒を比較した際、見るべきポイントが2つあります。
- 5~29人の事業所の離職率は下がっているが、1000人以上の事業所(大企業)と全体平均は上がっている。
- 若干の差ではあるがptの上がり幅がいちばん高かったのは1000人以上の事業所(大企業)
この2つから分かることは、「大企業の方が人は辞めない」は確かだが、大企業と中小企業との離職率の差が無くなりつつあることです。
そして、カイラボではこの傾向はこれからも続くと予想しています。もしかすると10年後、20年後に差がなくなったり、あるいは逆転している可能性もあるかもしれません。
まとめ
今回は2022年10月28日に厚生労働省が発表した資料を基に「企業規模別の早期離職率」についてお伝えしました。
カイラボでは「大企業と中小企業との離職率の差が無くなりつつある傾向」について、これからも続くと予想しています。もしかすると10年後、20年後に差がなくなったり、あるいは逆転している可能性もあるかもしれません。今回は大卒に特化した内容でしたが、高卒を取り扱った動画や記事のもありますので、ぜひ併せてご覧ください。