若手社員の離職理由として「入社前後のギャップ」を挙げる方は少なくありません。ギャップというと、人間関係や会社の雰囲気などをイメージされる方も多いかと思いますが、実は研修やOJTなどの人材育成に関する内容でのギャップも少なくはないのです。
本記事の要約
「研修内容が不十分」が入社後のギャップのひとつ
インターネットリサーチを行う株式会社マクロミルが2019年5月に行った、22~25歳の会社員・公務員を対象とした調査によると、入社前後での就職先に対するイメージにギャップを感じた人の割合は、最も高い2017年と並んで50.5%という結果になっています。
具体的に感じたギャップの内容は、「残業が多い」が約35%と最も多く、次いで「給与が少ない」21.8%、「希望する仕事ができない」19.8%と続きましたが、次いで18.9%を獲得したのは意外にも「研修内容が不十分」との結果でした。
企業が主要の研修方法としているOJTの課題は「多忙・人材不足・人材格差」の3つ
新入社員のこういった現状がある中、企業の研修担当者へ研修に対する課題感を調査したアンケートもあります。
社会人向け学習動画サービス『Schoo』を運営している株式会社スクーは、2018年10月に法人向けオンライン学習サービス「スクービジネスプラン」を利用中の企業担当者を対象に実施した、OJT研修及び入社前研修についてのアンケート調査を行いました。 (研修名は『Schoo』社発表のまま)
この調査では、新入社員に自社文化や社内業務を伝える方法として、半数以上の人事・研修担当者が、OJTを用いているとの結果が出ており、最も活用している方法だと言えます。
また、具体的に感じている課題は、「人材不足によって、多忙な社員に負荷が掛かってしまっている」また、「指導する社員のレベルを合わせられない事で満足いかない結果になってしまっている」という、大きくは「多忙・人材不足・人材格差」の3つが原因になっているようでした。
まず認識すべきは、企業・新入社員間の課題感のズレ
この二つのアンケート調査を踏まえて見えてくるのは、新入社員と企業サイドが人材育成への課題を感じている点は共通ですが、研修への課題感に双方のズレがある事です。
新入社員は、「研修を十分にしてから業務に取り組んでいきたい」と感じている一方で、企業は研修の中でもOJT研修をメインに考えており、その運用に課題を感じているという点で、双方の研修への課題感の認識にズレが生まれてしまっています。
不十分なOJTによる弊害とは?
第二新卒世代である私個人の見解ですが、不十分なOJTによってこういった弊害を引き起こす可能性があると考えます。
新入社員の立場になって考えられる例としては、
・担当する社員によって内容の充実度・進め方が違ってきてしまう
・実務の中で、仕事のノウハウや対応力を満足に得られない新入社員が出る
・それにより、その社員は即戦力になれる成長機会得づらくなる
・その結果、成果が上げにくい為に成長実感が得づらく、会社への不満が生まれる原因のひとつになる
ということがあるのではないかと思います。
企業全体での「人を育てる文化づくり」が重要
ここまで、新入社員・企業それぞれのOJTへの課題をデータを元に取り上げてきましたが、OJTの課題は研修の課題に留まらずに、企業全体での課題として捉えて「人を育てる文化づくり」に力を入れていく事が重要だと考えています。
その為、カイラボで実施しているOJT担当者への研修でも「OJT担当のみなさんだけで課題を抱え込まないでください」と伝えています。
次の項目では、担当者の方がよりよい研修にする為、まず取り組める事についてご紹介します。
”ただ行えばいい”だけではない! 若手社員へのフィードバックにはコツが必要
OJT研修の効果的な運用に対する企業の課題は山積みですが、担当者の方がすぐに取り組める事は、適切なフィードバックを行い、個々の特性や成長に応じた育成をすることです。
フィードバックのコツについてはこちらで詳細をご紹介していますので、ご覧ください。
研修やOJTは実施していても形骸化してしまうと、思ったような成果が出せないこともあります。研修やOJTで入社前後のギャップを生まないような仕組み、体制をつくっていきましょう。