早期離職対策は何からはじめるべきか?

編集部

「早期離職の対策を進めたいけど、何から対策をすればいいのか分からない」という声は、私たちカイラボが早期離職防止コンサルティングや企業研修、採用コンサルタントを行う中で、多くの企業の人事担当者や経営層の方からよく耳にします。

早期離職の傾向や理由は会社によって変わってくるため、有効な対策や優先すべきことは企業によって異なります。そのため、有効な手立てがなかなか見つからなかったり、どこから手を付ければいいのか、多くの企業で悩んでいると思います。

そこで今回は、早期離職対策は何から始めるべきかについてお伝えします。

早期離職の対策を進めるにあたり、まずはじめに取り組むべきことについて、取り組む際のポイントにも触れながら、具体的に解説していきます。

新しく入社される方の情報共有

早期離職対策は、社員が入社する前から始まっています。
新しい社員を迎え入れるにあたり、入社される方の情報を職場共有しておくだけでも、その後のコミュニケーションが円滑になります。

新卒の方であれば、エントリーシートの内容の要約や抜粋を簡単に紹介してもいいかもしれません。また、面接を担当した方が人柄などを事前に伝えることも有効です。

これらの情報はすでに多くの企業で事前共有されているかもしれません。早期離職対策という観点では、もう一歩踏み込んだ情報共有も必要です。その情報とは「採用理由」です。

具体的には、

・どんな人材に育ってほしいと思って採用したのか

・どういう経歴やスキル、資質を評価して採用を決めたのか

・その人のどんな点が会社の文化、風土にマッチすると思ったのか

などの情報です。

採用を決めた理由や期待を事前に社内共有することで、その人に初期段階で求める仕事のレベルや仕事の振り方など、職場のメンバー内で共通理解深めることができます。
何より、事前に人柄を知れると、社内に歓迎するムードが出来上がるため、入社される方も職場に早くなじみやすくなります。

情報共有するときのポイント

情報共有する方法についてもポイントがあります。

情報を社内に共有する際には、社長や役員、人事の責任者など「役職が上の方」から社内に伝えるようにしてください。

なぜなら、会社のトップ層の方が会社の方向性と新しく入る方を結び付けながら伝えることで、より社内の意識の統一を図ることができるからです。

・会社のトップ層がどういう想いで採用したのか

・会社のどんなビジョン、構想に沿って採用したのか

など、会社のビジョンと一緒に社内メンバーに共有することが大切です。

役割分担の情報共有

共有すべき情報の2つ目は役割分担です。

ここでいう役割分担とは、新たに入社する方の人材育成に関する役割分担です。OJT担当者、研修担当者など新入社員への教育担当の方が決まっている会社も多いと思いますが、ただの役割分担では準備としては不十分です。

役割を決めるだけでなく

・担当者は、どんなスタンスで新入社員に接するのか

・どんなアプローチで教育をしていくのか

・心理面のサポートは誰がどんな方法で行うのか

など、具体的な仕事内容やスタンスまで担当者の間で確認することが大切です。なぜなら、育成担当者の間でそれぞれの役割やスタンスを把握できていると、

「叱るのは育成担当者である自分の役割だから、注意が必要な場面では自分がしっかりと指導しよう。精神的なサポートはメンターの方にあとでお願いしよう」

など、各担当者がやるべきことが明確になり、人材育成を進めることができます。
担当者間での連携がうまくできてないと「厳しくし過ぎて辞めてしまったらどうしよう」と思って適切な指導ができなかったり、逆に、本来はメンターとして心理面のサポートの役割の方が厳しい指導をしてしまったり、というケースがあります。

また、育成の担当になっていない社員に対しても、育成担当者の役割や仕事の内容について伝えることも大切です。

・誰が育成担当で、誰がメンターなのか

・育成担当者はどういうアプローチをするのか

・メンターはどんなサポートをしているのか

など、社内メンバーにも役割分担だけではなく、具体的に担当者が何をするかまで伝えるようにしてください。そうすることで、新入社員の方が業務でつまづいているとき、または人間関係で悩んでいるときに、誰に相談すればよいのか社内の方が把握している状態をつくることができます。

また最近では、社内のメンバー全員で採用活動に関わる「スクラム採用」という言葉がありますが、人材育成に関しても同じようにスクラムで全員でタッグを組んで人材育成をしていくことが大切です。

社内全体で人材育成に関わるためにも、育成担当者がどのような役割を担っているのかを共有するようにしましょう。

まとめ 早期離職対策は社内の体制づくりから

今回は「早期離職対策は何からはじめるべきか?」について、お伝えしました。

改めてポイントをまとめます。

1 社内メンバーにトップ層から新しく入社される方の情報の共有をする。

まずは、なぜその人を採用するのか、その方にどういう活躍をしてほしいのかについて社内メンバーが理解していることが大切です。伝えるときには、トップ層から経営目標なども踏まえて伝えていくことで、共通理解のもと人材育成を進められるようにしましょう。

そうすることで、入社前に受け入れる雰囲気、歓迎するムードを作ることができ、早期離職の対策に繋がります。

2 育成担当者の役割分担を担当者の間、そして社内で共有する

次に新入社員を受け入れた後の体制を強化するようにしましょう。育成担当者の間で、それぞれの役割分担を共有することはもちろんのこと、社内メンバーにも新人の教育体制について周知することが大切です。

「新人教育はOJT担当者に丸投げ」という会社もありますが、OJT担当者と相性が合わずに辞めてしまうケースもあります。特定の方だけが育成を担当するのではなく、社内全体で育てていく風土をつくるようにしましょう。

私たちカイラボでは、早期離職の原因として

・存在承認の不足

・貢献実感の不足

・成長予感の不足

の3つを挙げています。
今回紹介した取り組みを行うことで、早期離職の原因を作らない社内体制ができてきます。「何から始めたらいいかわからない」という方は、ぜひ取り組んでみましょう。

また「存在承認、貢献実感、成長予感」それぞれに対する具体的な対策については、私たちカイラボのブログやyoutubeなどで解説していますので、ぜひそちらもご覧ください。