カイラボの研修の9割以上はお客様向けにカスタマイズしてご提供しています。
研修の企画段階から、お客様の課題や研修後の受講者がどう変化してほしいかなどのご要望をお伺いし、お客様の状況に合わせた研修をご提案・ご提供しています。
このレポートでは2024年4月2日に実施した、アニメ制作会社様での新入社員向けマナー&ビジネスコミュニケーション研修のカスタマイズの事例と研修内容をお伝えします。
研修の概要は以下の通りです。
研修概要
研修時間 :8時間(昼休憩1時間含む)
実施方法 :対面形式
受講人数 :28名
受講対象者 :アニメ制作会社の新入社員(職種はイラストレーター、制作進行、CG担当など様々)
研修内容目次
1.オリエンテーション(目的とルール説明・自己紹介・共通点探しによる目標到達の重要性理解)
2.学生と社会人との違い (QCDの重要性と時間の価値)
3.上司、先輩とのコミュニケーションのコツ(当社オリジナルのソーシャルスタイル診断含)
4.オンラインコミュニケーションのコツ
5.【社会人としての基本マナー】名刺交換・電話対応・言葉遣い
6.【実践ワーク:ミスをリカバリーせよ】上司・先輩への報連相
7.まとめ・振り返り
それでは当日の様子を詳しくレポートしていきます。
本記事の要約
カスタマイズのポイント
・「6.【実践ワーク:ミスをリカバリーせよ】上司・先輩への報連相」における内容をアニメ制作会社特有の内容に変更しました。
具体的には、架空のアニメ設定を作成し、受講者にリアリティを持ってもらうために詳細のシミュレーションシートを用意しました。そのうえで、業界で起こりがちなミスが起きてしまったケースを想定し、上司役(講師)と相談しながら問題の解決にあたる実践ワークとしました。
また、実践ワークの変更にともない、目次1〜5の内容も若干変更しています。
・電話対応では、アニメ業界ならではの「アニメファンから制作会社にかかってきた電話への対応法」のシミュレーションを行いました。関係者を装い、アニメーターの個人情報を聞き出そうとする相手もいるため、コンプライアンス意識を高めることにもつながります。
今回のレポートでは、最大のカスタマイズ要素である 【実践ワーク:ミスをリカバリーせよ】上司・先輩への報連相 の内容の一部をご紹介します。
実践ワークのねらいと設定
一日かけて報連相の重要性やビジネスコミュニケーションのコツを学んできた受講者にとって、総仕上げになるのが実践ワークです。
ビジネスコミュニケーションについて「わかる」状態から「できる」状態まで引き上げるのがこのワークの最大の狙いです。
今回のアニメ制作会社様では、研修の企画段階で「アニメ制作会社の新人ミスあるある」をいくつか挙げていただきました。打合せ内容をもとに、当社で架空の状況を設定し、受講者には「ミスが起きてしまった後に上司と協力してリカバリーする」体験をしていただきました。なお、上司役は講師(本研修ではカイラボ代表取締役の井上)が務めました。
実践ワークのご紹介
それでは実際のワークをご紹介いたします。受講者はこのような状況からスタートします。
「打合せで決めた変更箇所が変更されていない!」とお客さまからクレームの電話を受けました。
今からの修正では本来の納期には間に合いそうにありません。すぐに相談できるのは職場にいる上司(講師)だけ。さぁ、上司と相談してこの状況を乗り切りましょう!
※実際にはもっと詳細の状況説明シートをご用意しています。
実際に受講者へ配布された状況シートの一部をご紹介します。
ワークの進め方としては、5〜6人が1チームとなり、チーム内で話し合ってから上司に報連相をしてもらいます。
これまでの研修で「報連相はスピードも重要」と伝えられている受講者たちの中には、いち早く上司に報連相してくるチームもあれば、時間かけて必死に解決策を考えてから上司に報告してくるチームもありました。
残念ながら必死に考えた解決策を上司に一蹴されてしまうチームも見られました。いち早く上司に状況を共有して、解決のヒントをもらえたチームの方が進捗は早い傾向にあります。
また、ビジネスコミュニケーションでは話す順番は「PREP」が基本です。これも研修で教えられているはずですが、いざ上司を目の前にすると緊張してしまい結論から話せない人も見られました。
上司役の様子をみると、怒鳴ったりはしないものの、理詰めで淡々と話すので新入社員にとってはちょっと怖く見えているのかもしれません。(注:講師はシミュレーション用に演技をしています)
状況がうまく理解できていないチームは上司から助言をもらい、状況を箇条書にしたり、フローチャートにして整理したりしながら解決策を考えます。
上司からヒントをもらったチームは自席に戻りすぐに解決にとりかかります。そしてまた上司へ報告・相談、自席でチームで検討を何度も繰り返します。
実践ワークの時間は資料の読み込みも含めると約80分。休憩も一切とらずに無我夢中で目の前の問題を乗り越えようと本気で悩み、チームで議論し、上司から叱咤激励をうけます。
最後は今回のミスの原因を追求し、それを文面に起こし顛末書を書いたところで実践ワークは終了です。
実際のフローチャート図・顛末書の下書き
実践ワークでの受講者の感想を一部ご紹介します。
「結論から話すが大事とわかっているけど、緊張すると自分が何をしゃべっているのかわからなくなるし、結論から話せなくなってしまった。」
「コミュニケーションの実践を通して、チームで相談することの大事さを学びました。」
「そもそもミスが起きないよう、議事録を取る大切さが分かりました。」
「チームだったら自分の足りない部分を補いあえる、相談しあうことが大事だと考えました。」
「自分の言動や行動で、相手がどう思うか、できるだけ予想して行動することが仕事には大事だと実感しました。」
研修終了時には少々疲れ気味の新入社員たちでしたが、ミスに対して自分たちで解決策を考え、上司に「報連相」をする姿は入社2日目とは思えない立派な社会人でした。
本研修のアンケ―ト結果
今回研修を実施いただいたアニメ制作会社様(以下、同社)では、受講者向けに研修アンケートを実施いただいておりますので、本研修のアンケート結果をご紹介します。
1.満足度 【平均:4.8点/5点】
・基礎的なマナーから、コミュニケーションを取る際・物事を伝える際に重要なことなど、今後仕事をしていく上で非常に大切なことをたくさん学ぶことができた。実践形式だった為、自分に何が足りていないのかが分かりやすく、非常にためになった。
・名刺交換や電話でのコミュニケーションのマナーなど、知らなかった事を知れた。また、事実・解釈・解決策を持ったコミュニケーションの重要性などすぐにでも実践できる仕事の心得を教わりモチベーションが高まった。
3.学習量 【ちょうど良い 90%】
・想像以上に多くのものを学んだと思う。時間的な体感は短かったが、内容を振り返るととても濃かった。
・たっぷりと時間をかけて様々なビジネスマナーや動き方を学ぶことが出来、とても自身のためになる学習量だった。
4.指導について 【平均:4.8点/5点】
・カジュアルに説明してくれる部分と、実際の上司のように振る舞ってくれる部分があり、楽しさと緊張感を持って受講できた。
・実体験もまじえた話を楽しく聞くことができ、会社の方針に合った形に変化させていてとてもよかった。
・分かりやすい説明や演技を交えての実践はとても素晴らしいと感じた。
研修ご担当者様のコメント
「アニメ業界用にカスタマイズしていただいたおかげで、受講者が真剣に取り組んでいたのが印象的でした。受講者も自分事として取り組めたと思います。」
「今回はやや厳しめの上司役を演じていただいたので、新入社員が上司に対してどう立ち向かっていくのかを見ていたが、諦めずに取り組んでいたのをみて安心しました。昔に比べると厳しい上司はかなり減っていますが、言葉がきつい人などはいるので、そういう相手にもひるまずにコミュニケーションをとってほしい。」
「今までは実践形式の研修はやってこなかったが、今回やってみて非常に良かった。研修全体を通じてワークが多いので、新入社員同士グループで交流しながら楽しくやりつつも、一生懸命取り組んでワークを乗り切っていました。終了後には社会人の顔になっていたように思います。」
新入社員向けマナー&ビジネスコミュニケーション研修のまとめ
同社では入社後約1週間、様々な研修を実施しているとのことですが、「一番印象に残った研修はなにか?」という問いに、3分の2の新入社員が当社のビジネスマナー研修を挙げていただきました。
ビジネスマナー研修といえば、身だしなみや言葉遣いに重点を置きがちです。しかし「報連相」等の上司と部下とのコミュニケーションもビジネスマナーとして重要なスキルであり、ビジネスマナーがなければ社内で良好な関係を築くことができません。弊社では各会社に合わせた実践的な内容をケーススタディとして提供しています。
カイラボの研修はお客様のご要望に応じて、カスタマイズしてご提供しています。教育・研修をご検討の際はお気軽にご相談ください。研修に関するお問い合わせは下記フォームよりご連絡ください。