株式会社カイラボでは企業の人材育成支援として様々な研修をご提供しています。
最近では、これからの会社を担っていく存在である「次期リーダー層」に向けたリーダーシップ研修のご依頼が増えています。
このレポートでは2024年5月30日に実施した、東京海上アシスタンス株式会社様での「課長代理研修-これからの時代のリーダーシップ-(全2日間)」の中から、第1日目の様子をお伝えします。
研修実施の背景
2022年に株式会社東京海上日動キャリアサービス様と連携し、カイラボで採用面接官研修および一部拠点の管理職研修(全4回)を実施(株式会社東京海上日動キャリアサービス様のお客様の声はこちらからご覧いただけます。)
前年の内容が好評だったため、2023年には全国の課長クラスを対象として「新しい時代のリーダーシップ研修」を実施。
さらなる組織強化のため、2024年は課長代理クラスへの研修を実施することとなりました。
2022年、23年、24年とすべての研修で株式会社東京海上日動キャリアサービス様とも密に連携をとりながら、お客様の課題抽出から解決の方向性決めを共同しておこない、お客さまの課題に沿ったオーダーメイド型の研修をご提供しています。
研修概要
研修日程 :5月末と9月の全2回
研修時間 :10時~17時(昼休憩1時間含む)
実施方法 :対面形式
受講人数 :19名
受講対象者 :課長代理(新任・既任問わず)
※受講人数が多いため、同様の内容を別日程で開催しています。(全2開催)
研修内容目次
0.オリエンテーション
1.これまでのリーダーシップとこれからのリーダーシップ(シェアドリーダーシップ)
2.多様なリーダーシップタイプと自分らしいリーダーシップタイプ(理想のチームとは?)
3.タイプ別のコミュニケーション(ソーシャルスタイル診断)
4.問題を整理・分析し解決するスキル・フィードバックスキル
5.悩みを抱える部下との面談実践
6.まとめ・振り返り
ここからはパート毎に研修の様子をお伝えします。
本記事の要約
1.これまでのリーダーシップとこれからのリーダーシップ(シェアドリーダーシップ)
「皆さんは”リーダー”と”リーダーシップ”の違いについてご自身の言葉で説明することができますか?」
カイラボのリーダーシップ研修では冒頭でこう問いかけます。私たちは”リーダー”とは「チームの目的達成のためにメンバーを率いる役割」と定義しています。
続いて「では”リーダーシップ”はどう定義しますか?」と聞くと様々なこたえが返ってきます。
ある方は「リーダーシップとは人格を高めることです。」という回答。すかさず講師から「人格を高めるとは、もう少し具体的には?」と聞かれると、しばらく考えた末に「よくわからないですね(笑)」との回答でした。
リーダーシップについて漠然としたイメージはあるものの、具体的に言語化した経験のある方は多くないと思います。
カイラボのリーダーシップ研修では、リーダーシップの定義を「チームの目的達成のために、周囲にいい影響を与える発言や行動」としています。
だからこそ、立場に関わらずリーダーシップは誰もが発揮できるものであり、参加者にも研修中にリーダーシップを発揮してほしい旨をお伝えしています。
2.多様なリーダーシップタイプと自分らしいリーダーシップタイプ(理想のチームとは?)
このパートでは、理想のチームにおけるリーダーとメンバーの行動特性を考えてもらいます。
理想のチームの「リーダーの行動特性」として、参加者から挙がった声の一部をご紹介します。
「メンバーが困っているときに自ら声をかけることが行動特性だ。」
「小さなことでもほめることが大事なのではないか。」
「問題が起きた時に先頭に立って指導することがリーダーには必要だと思う。」
「一人キャラクターを理解して、主体的に意見や提案をしやすい環境をつくることが大切。」
「言動や行動に注意をして、部下から次のリーダーになりたい!と思ってもらえるように努めることだ。」
「部下の発言にイラっとしたときに顔に出さないこと。「なんでこの仕事を私がやらないといけないのですか?」と部下から言われてしまった際、どうしても苛立ちが顔に出てしまい「いいからやって。」とキツイ言い方をしてしまうから。」
では、理想のチームの「メンバーの行動特性」はどうでしょうか?以下が、参加者から挙がった声の一部です。
「チームメンバー同士フォローしあうこと、またチームに必要な情報を共有することだ。」
「自分のタスクは自分で最後までやり遂げようとする心持ち。」
「自分の意見をメンバーにしっかりと伝えることができるスキル。」
「チームで行う仕事に対して、否定的な発言ばかりしないこと。」
理想のチームやリーダー、メンバーのあり方は人によって異なります。唯一の正解はありません。正解がないからこそ、理想のリーダーを一人ひとりがイメージすることが大切だと考えています。そのため、カイラボの研修ではレヴィンのリーダーシップスタイルという考え方を使い、理想のリーダーシップを考えてもらいます。
下図のような逆三角形の中で、理想のリーダーシップと現在の職場の自分自身のリーダーシップがそれぞれどの位置に来るのかを書いてもらいました。
記入後の受講者同士の意見交換では「自分で仕事をやったほうが早いため、部下に仕事を任せずに全て自分でやってしまっていた。しかし本当は、リーダーは部下を信頼して任せ、介入しないのがチームの理想なのかもしれない。」という意見ありました。
理想のリーダーシップを考えることで、普段の自分のリーダーシップのやり方・あり方に気付くことが非常に大切です。また、チームの置かれた状況によって必要なリーダーシップは異なります。カイラボのリーダーシップ研修では、状況に合わせて異なるリーダーシップを発揮できるようになることが重要だとお伝えしています。
3.タイプ別のコミュニケーション
ソーシャルスタイル診断
リーダーシップスタイルにもタイプがあるように、コミュニケーションにもタイプがあります。
カイラボの研修ではソーシャルスタイル診断を実施しています。
ソーシャルスタイル診断は、感情表現度(感情の出やすさ)と思考表現度(自己主張の強さ)の2軸でコミュニケーションのスタイルを分類します。カイラボでは無料で活用できる簡易的な診断ツールもご用意しています。
参加者にも、ソーシャルスタイル診断を行っていただきました。
「面談で上司から指摘されたことばかりで当たっている!」と驚いている方もいれば、「本当にエミアブルですか?(笑)」と周りの参加者から疑われている方もいらっしゃいました。
個人の診断後には、職場のメンバーがどんなタイプに分類されるかの予想を記入してもらい、タイプ別のコミュニケーションの対応方法を考えました。
「確かに会議にドライバーがいないと決まらない。でも、ドライバー同士だとバチバチなコミュニケーションになっていることあるよね。」など、その場にはいない職場のメンバーをイメージしながら、コミュニケーションのあり方について議論を重ねます。
社員の離職理由でも頻繁に挙がるのが「周囲とのコミュニケーション」です。だからこそ、コミュニケーションには様々なタイプがあり、自分の理想とは違うコミュニケーションをとる人がいること、そういう人にどう対応すればお互いがストレスなくコミュニケーションができるのかを知ることが重要です。
4.問題を整理・分析し解決するスキル・フィードバックスキル
リーダーに求められる能力の一つが問題解決能力です。では、問題とは何を指すのでしょうか?
一般的に問題とは「あるべき姿と現状とのギャップ」と言われます(カイラボでは敢えて「あるべき姿」ではなく「ありたい姿」という言葉をつかっています)。
本パートでは組織の問題を「成果へのコミット」「チームの関係性」「各個人のスキルと成長度」の3つに分け、それぞれでありたい姿、現状、問題を記入してもらいます。
参加者の記入内容を一部ご紹介します。(個人が特定されないよう、若干内容に手を加えています。)
ありたい姿:「業務代替性が確保され、各自が専門職として高いスキルを身に着けているチーム」
現状:「属人化していて、担当が不在だと対応ができない現状」
問題:「忙しすぎて自身の業務以外に手を付けられないのが問題」
「チームの関係性」
ありたい姿:「チーム全員が意見の言いやすいフラットな関係性」
現状:「個人プレーが多い」「意見は出るが、前向きな意見ではなくネガティブな意見が多い」
問題:「そのためチーム内で対立してしまうことがある」
ありたい姿:「業務の基礎的知識を個人が身に着ける」
現状:「個人スキルに差がある」
問題:「主体性がない」
みなさん、かなり具体的に記入していました。世の中に問題が全くない職場はないと思います。ですから、リーダーには、職場や部下が抱える問題を解決する能力が求められます。部下の抱える問題を解決し、部下の成長を促すために不可欠なのがフィードバックスキルです。
近年では、上司が部下に何か言うことに対して「パワハラと言われたらどうしよう」「部下に叱ってもいいのだろうか」など、部下へのフィードバック方法に悩みを抱えている管理職やリーダーも少なくありません。
今回の研修では、フィードバックの基本手順として絶対におさえてほしい「SBI情報の伝達」をお伝えしました。
「SBI」とはフィードバックで伝えるべき3つの情報です。
- Situatuion(状況)
- Behavior(行動)
- Impact(成果)
それぞれの頭文字をとって「SBI情報」と呼んでいます。「どんな状況で、そんな行動をとって、どんな結果になったか」を詳細に伝えることで、具体的かつ客観的に問題を認識ができ、部下が納得しやすく腹落ち感のあるフィードバックになります。
5.悩みを抱える部下との面談実践
【ワーク】面談実践
いよいよ研修も終盤です。研修を通じて学んだ、部下への承認やフィードバックの仕方を実務でも実践できるように実践ワークを行います。参加者同士ペアを組み、上司役と部下役に分かれて模擬面談を行います。
フィードバックで伝えるべき3つの情報「SBI」を伝えている上司にだけ、部下は本音を話しても良いという設定のもと行いました。果たして上司役は部下役の本音を聞き出すことができるのでしょうか?
シミュレーションで使用する面談シートの一部をご紹介します。
上手くいったペアもあれば苦戦したペアもありました。実践ワークを終えての参加者の声をご紹介します。
部下役の方の声
「面談の最初に、「いつも遅くまでありがとう。」と言われたとき、あぁ、この人はちゃんと自分のことを見てくれているのだと感じました。また、SBI(フィードバックの3つの視点)を使って自分の仕事ぶりを承認してもらえると、この人を裏切ることはできない。という感情が出てきました。そして次第に、この人には本音で話さないといけない。という心境に面談を通して変化していきました。」
本日の課長代理研修を受けた参加者の感想をご紹介します。
- 部下へ承認の言葉を使い分けることを、今までは意識してできていなかったので、明日からは意識して承認の言葉を使い分けるようにしようと考えました。
- 同じ会社の中でグループワークができたので、シチュエーションが想像しやすく、リアルな場面を想定した面談の実践ワークを行うことができて良かったです。
- リーダーシップ、リーダーとは何かという漠然とした状態でのスタートでしたが、理想のリーダー像が具体的に想像できるようになりました。
- 部下にだけでなく自分の子どもへの教育にも同じことが言えると考えました。もっと数年後を見据えて育成の計画を立てないといけないと気づきました。
- 会社や支店での取り組みが目標を達成しているのは、きちんとバックキャスティングができているからだと研修を受けて気づきました。
今回の実施した課長代理研修は、2日間構成のため、次の第2回目に向けた行動目標を記入し研修は終了となりました。
リーダー研修(課長代理研修)―これからの時代のリーダーシップ―まとめ
今回の実施した課長代理研修は、2日間構成のため、次の第2回目に向けた行動目標を記入し研修は終了となりました。今回は部下へのフィードバックに重点をおいた研修を実施しましたが、リーダー層のハラスメント対策の一環としてアンコンシャスバイアス研修も行っています。松竹株式会社様の事例は下のリンクからご覧ください。
また動画をご覧いただくことで、カイラボの研修の具体的な様子をより深くご理解いただけます。無料研修動画は以下のリンクからご覧下さい。
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