部下のモチベーションアップのために知っておきたい2つの理論 キャリアアンカー / 14の労働価値

編集部

「部下のモチベーションがどこにあるのか、わからない」
「チーム内のモチベーションを高める方法がわからない」

企業研修で上司やリーダーの方からよく聞く悩みの一つです。

部下やチーム内のやる気をあげたり、やりがいをどうやったら感じてもらえるか悩んでいる方も多いかもしれません。 今回は、そんな上司やリーダーの方に向けて、モチベーションに関する理論を紹介しながら、具体的な方法について紹介していきます。

この記事の内容は動画でも解説しています。是非、動画もご覧ください。

モチベーションアップのために

部下の方や同じチームのメンバーのモチベーションを上げるためには、どんなことが大切でしょうか?

いろいろな手法や理論がありますが、まずは

「メンバーのモチベーションの源泉を知る」

ことが前提として必要になるでしょう。

  • 何がその人のやる気に繋がるのか
  • どんなことに働きがいを感じるのか
  • どんなことに価値を見出すのか

を理解した上で、具体的な働きかけや施策を考えていくことが大切です。

また、モチベーションの源泉を知る上では、「人それぞれモチベーションの源泉は違う」ことを意識しながら、進めていきましょう。

上司の方やリーダーの方が感じる「やりがい」と部下の方の「やりがい」は、違っていて当然です。自分と部下、自分と他のメンバーのモチベーションの源泉は違うことを頭に置きながら、メンバーそれぞれの考えや価値観を理解していってみてください。

モチベーションの源泉を知るために覚えておきたい2つの理論

今回は、メンバーの仕事に対する価値観や考え方を、

・どうやって理解していけばいいか
・そもそも、どんな価値観があるのか
について、2つの有名な理論を紹介しながらお伝えします。

キャリアアンカー

キャリアアンカーの「アンカー」とは、船の錨(イカリ)を意味しています。

船の錨は、船が潮で流されたととしも同じ場所に戻ってこれるようにするための重りです。

それをキャリアの話に置き換え、自身のキャリアの「アンカー」になっている価値観という意味から、キャリアアンカーとは、

「自らのキャリアを選択する際、最も大切な(どうしても犠牲にしたくない)価値観や欲求」

という意味で使われています。

キャリアアンカー8つの価値観

キャリアアンカーは8つの価値観に分類されますが、一つだけの唯一の志向を持つのではなく、個人の中に8つの志向の優先順位があります。

つまり、どれか1つの価値観だけがキャリアアンカーになっているわけではなく、人それぞれ複数の価値観を大切にしており、その優先度があります。

ただ、

・もっとも強く感じている価値観
・大切にしている上位3つの価値観

は、色濃く出るので、そこを理解していくことが大切です。

では、8つの価値観をひとつずつ解説していきます。

専門能力志向

専門能力志向は、自分の専門性や技術を高めることに価値を置いているタイプです。特定の分野や仕事を極めること、スペシャリストになることにやりがいを感じます。職人肌のような方が専門能力志向が強いと言えるでしょう。

経営管理志向

経営管理志向とは、組織内で責任ある役割を担うことにやりがいを感じるタイプです。経営というワードが入っていますが、経営者になりたいというよりは組織内で出世して管理者的な立場や仕事をこなすことに価値を見出す方がこのタイプです。

自立志向

自立志向とは、自分で独立して仕事を進めていくことにモチベーションを感じるタイプです。自立とは、会社から独立することだけではなく、会社内にいても自分の意思や裁量で自由に仕事をしたいという意味合いも含まれています。

安定志向

安定志向とは、安定的に一つの組織に属することを望んでいるタイプです。安定志向というと少しマイナスの意味を感じる方もいるかもしれませんが、安定志向の方は安全性やリスクを回避することを大切にしているため、そうしたことが求められる仕事にやりがいを感じます。

起業家志向

起業家志向とは、クリエイティブに新しいことを生み出すことにやりがいや価値を見出します。起業家という言葉が含まれていますが、起業だけではなく独創的な仕事やアーティステックな仕事に対してモチベーションを感じる方もこのタイプです。

社会貢献志向

社会貢献志向とは、社会を良くする・他人に奉仕することを大切にしているタイプです。仕事をする上で、自分の仕事や社会や周りの実際に役に立っているか、貢献できているかを重要視する方はこのタイプです。

チャレンジ志向

チャレンジ志向とは、解決困難な問題に挑戦することにやりがいを感じるタイプです。困難なことや誰もやったことがないことに対してチャレンジし乗り越えていくことに、喜びを感じるタイプです。

調和志向

調和志向とは、ライフスタイルとキャリアのバランスを大切にするタイプです。よく趣味と仕事のバランスといいますが、調和志向の方は趣味だけではなく家族や自分の時間などのワークライフバランスを大切して仕事をしたいタイプです。

キャリアアンカー理論を活用する上で大切なこと

ここまで8つのキャリアアンカーを解説しましたが、キャリアアンカーを使ってモチベーションを把握する上で大切なことが2つあります。

1、上司自身のキャリアアンカーと部下のキャリアアンカーを理解すること
2、タイプに良し悪しはなくタイプが違うことを理解すること

上司自身のキャリアアンカーと部下のキャリアアンカーを理解しましょう。

上司の方は、部下の方のキャリアアンカーを理解するだけではなく自分自身のキャリアアンカーを理解しておくことも大切です。

たとえば、上司の方が経営管理志向が強く、部下の方が自立志向が強い場合を考えてみましょう。この場合、上司は「管理したい」のに、部下は「自由にしたい」という噛み合わない状態が生まれ、上司と部下の関係がうまくいかないかもしれません。

上司の方は自分自身がどういう志向が強いのかを把握した上で、部下の方の志向と照らし合わせながら、どういう接し方がいいのか、仕事の振り方がいいのかを考えていくようにしましょう。

タイプに良し悪しはなくタイプが違うことを理解すること

キャリアアンカーを知るためのワークショップを行うと

「私こんなつまんないタイプでごめんなさい」

という方がいますが、タイプに優劣はなく、それぞれのタイプの方が得意とする仕事、または苦手とする仕事があります。

大切なことは、自分自身の価値観を知ること、また価値観には人それぞれの違いがあることを理解することです。

キャリアアンカーを知るには?

最後に、キャリアアンカーを知るための方法についてお伝えします。キャリアアンカーの書籍やネット上の記事などに、把握するための方法は多数ありますので、そちらを社内で活用してみましょう。

お互いのキャリアアンカーを知ることで、今までなんとなくしか意識できなかったメンバー間での価値観の違いが言語化できたり、部下の方への言葉かけや接し方を見直す機会にもなります。

モチベーションを高める方法の一つとして、是非活用してみてください。

14の労働価値

14の労働価値とは?

14の労働価値とは、ドナルド・E・スーパーというアメリカの学者が提唱した仕事に対する人の価値観に関する理論です。

14の労働価値の理論によると、人間の仕事に対する価値観として以下の14の価値観があると定義しています。

1. 能力の活用:自分の能力が発揮できること

2. 達成:望んでいた結果が生まれた実感

3. 美的追求:美しいものを創りだせること

4. 愛他性:人の役に立てること

5. 自律性:自律的に行動できること

6. 創造性:新しいものや考え方を創りだせること

7. 経済的価値:お金をたくさん稼ぎ、水準の高い生活ができること

8. ライフスタイル:自分の望むペースで生活ができること

9. 身体的活動:身体を動かす機会が持てること

10. 社会的評価:社会的に仕事の成果を認めてもらえること

11. 危険性、冒険性:好奇心を満たすわくわくする経験ができること

12. 社会的交流性:いろいろな人と接点を持ちながら仕事ができること

13. 多様性:様々な活動ができること

14. 環境:仕事環境が心地よいこと

14の労働価値を活用する上で大切なこと

14の労働価値を活用する方法はいろいろありますが、例えば

・メンバーに14の労働価値の中から大切に感じているものを3つ選んでもらう
・メンバーが選んだ14の労働価値を理由含めメンバー間で共有する

などのワークショップを開いてみるのも有効かもしれません。

ワークショップを行う上では

「人それぞれ仕事に対する価値観が違う」

ことをメンバー間で意識できるように進めることが大切です。

部下ひとりひとりの価値観を理解することはもちろん大切ですが、それぞれの価値観が違っていることをメンバー内で共有できていると、コミュニケーションがよりスムーズになるため是非意識してみてください。

リーダーに必要なこと

ここまで、キャリアアンカーと14の労働価値を紹介しながらモチベーションの源泉を把握する方法などを紹介してきましたが、最後にリーダーや上司の方にやってみていただきたいことをお伝えします。

自分のモチベーションの源泉を周囲に発信すること

ここまで、どのようにして部下の方やチーム内の仕事に対する価値観を理解していくかという話をしてきました。

理解することも当然大切ですが、上司の方自身が自分のモチベーションの源泉を周囲に発信することも大切です。

しかし、勉強会や企業研修などでリーダーや上司の方に

「あなたのモチベーションの源泉はどこにありますか?」

と伺って、しっかりとした答えを持っている方はかなり少なく、うまく言語化できない方がほとんどです。

まずは上司の方から自分のモチベーションがどこで上がるのかを言語化しチーム内で共有している状態を作るように意識してみてください。その上で部下の方のモチベーションの源泉を知るためのワークショップや面談をすると、自分との違いや共通点が見えてきてさらに有効活用できると思います。

言語化するときには、キャリアアンカー理論や14の労働価値の中から選んでもかまいせんし、または自分の言葉で言語化してみてもいいかと思います。すぐには言語化することは難しいと思いますが、言葉に出してみてさらに周囲に発信してみてください。

自分のモチベーションの源泉=部下のモチベーションの源泉ではないことを理解すること

どんなことにやりがいを感じて、どんな仕事にモチベーションが高まるかは人それぞれ違います。キャリアアンカー理論や14の労働価値では、さまざまな志向や価値観に分けていますが、それぞれに優劣や上下関係があるわけではありません。

たとえば、チャレンジ志向が強い方が能力が高かったり人間的に優れているという話でなく、それぞれの志向で得意とする仕事や苦手とする仕事があります。

単純に志向が違うというだけで優劣の話ではないことを理解しておきましょう。

そして、その違いを分かった上で、その人のモチベーションが上がるような言葉かけや仕事やタスクのふり方を意識して取り組んでみてください。

まとめ

コロナ によってリモートワークが増え、対面で接する機会も少なくなったという職場もあるかもしれません。

そんな中で、チーム内のモチベーションの管理または向上を目指すことは、コミュニケーションの手段が変化したこともあり、以前よりも困難に感じている上司やリーダーの方も多いです。

まずは、モチベーションの源泉について自分から発信し、または簡単なワークショップなどを通じて部下の方のモチベーションを把握してみましょう。すぐには効果が実感できないこともあるかもしれませんが、みなさんの職場がよりよい職場になるように継続して取り組んでみてください。