あなたは、会社でジェネレーションギャップを感じることはないでしょうか。
相手は自分と違う年代を生きてきたため、ジェネレーションギャップが生じるのはある意味自然なことでもあります。
この記事では、ジェネレーションギャップにどのように対応すればよいかについて解説しています。
本記事の要約
育成担当者研修・管理職研修ではジェネレーションギャップの悩みが多い
カイラボでは、育成担当者研修や管理職研修などでジェネレーションギャップについての研修を、年間100本ほど行っています。
研修の企画や提案段階でも、若手社員とのジェネレーションギャップがどうにかならないかというご相談をいただくことが多いです。
実際に研修を行っている中でも、社内でジェネレーションギャップを感じているという話をよく耳にします。
最近では、管理職に就く年齢が上がっています。また管理職でなくても、社内全体の年齢が上がっているため、年齢が上の方がOJT担当になっていることもあります。
50代後半や60代の方が育成担当になったものの、新入社員は自分の子どもより年下のため、その感覚が全くわからないというのは特にめずらしいことではなくなっているのです。
年齢差が30〜40歳もあるような状態では、ギャップを感じるなというほうが無理な話でしょう。
この記事の内容は、動画でも解説しています。あわせてご視聴ください。
ジェネレーションギャップの内容
ジェネレーションギャップの内容についてよくあるのは、具体的に次のようなことです。
- 思考の方法
- 仕事に対する姿勢
- コミュニケーションの方法
- モチベーションの源泉
昔は、先輩や上司に何か指示されたらまずはハイと返事をするのみ。その場で反論などは、絶対にありえませんでした。
わからなくてもとりあえず自分でやってみて、それでだめだったら怒られる。このように、昔は先輩や上司に教わらなくてもまず自分で必死に考えるというやり方でしたが、現在はそれが通用しません。
今の社会でそのやり方をしていると、パワハラだといわれてしまうでしょう。このことは、先輩や上司である立場の人にもわかっているのです。
ジェネレーションギャップを実際に会話の中で感じるというより、むしろ、今までのやり方はおそらく今の若い人に対して通用しないため、どうすればいいのかわからなくなっています。
また、若い人の仕事に対する姿勢について、積極性がないという人もいる一方で、むしろ真面目である、先輩に積極的に質問できてすごいというポジティブな意見もよくあります。
さらに、コミュニケーションの方法として、オンラインとラインでのコミュニケーションが当たり前になってきていることや、若い人のモチベーションの源泉がわからないというのもよくいわれることです。
ジェネレーションギャップをどこに感じるかは人によって様々です。また、ギャップを感じるのがどこなのかはっきりわからないものの、とにかく何か感じるということもあります。
私自身もジェネレーションギャップを感じることは少なからずあるため、これらのことはよくわかります。
ジェネレーションギャップにどう対処するか
そもそも、ジェネレーションギャップが生じるのは防ぎようがありません。
例えば今後、令和生まれの人たちが新入社員として増えてくることになります。
20年後などに令和生まれの新入社員が入ってきた時、昭和生まれの人間としては、彼らと育ってきた環境や時代背景が全然違うために、ギャップを感じるのはどうしようもありません。
最近のことで考えれば、今はすでに2000年生まれの方が新入社員になっています。
2000年生まれの人は、生まれたときからすでにインターネットがあったわけです。また、物心がついたときにはスマホを持っていたでしょう。
一方で、80年代生まれの人の場合では、中学生のとき友達の家に電話をかける場合、連絡網を見て、市外局番からかけ、自分の中学校や氏名を名乗って電話に出た親御さんから電話をかけたい友達へ代わってもらうということをやっていました。
このような世代の間で、お互いコミュニケーションのとり方が違うのは当然です。そのため、ジェネレーションギャップは防ぎようがないものなのです。
ジェネレーションギャップをなくすことは無理なため、ギャップがあるという前提としてどうやって対処をしていくかが非常に重要です。
ジェネレーションギャップには、悪いことばかりではありません。あるという前提で考えていくと、お互いの違いを知ったり話題につなげていくなど、関係を深くするためのツールに使うこともできます。
ジェネレーションギャップをなくすことや、とにかく若者についていこうというのも大事ではあります。しかし、現実的にギャップをなくすというのは不可能です。
ジェネレーションギャップはあるという前提で、どのように活用していくかを考えていくことが大切です。
相手の年代を想像するためのヒント
では、具体的にジェネレーションギャップがある相手を知るためには、どのようなことをしたらよいのでしょうか。
私が、よく研修で使う方法を紹介します。それは、相手の年代を想像するヒントとして年表クイズを用意することです。
2022年に大卒での新入社員の方は、浪人や留年をしていなければ99年と2000年生まれです。
例えば99年というのは、ペット型ロボットのAIBOが初めて発売された年です。つかみとして、今年新入社員で99年生まれの方は、AIBOと同じ年ですねということをよく話しています。
若い人にジェネレーションギャップを感じるという管理職の方に対しても、研修でこのような年表を用意します。
年表を踏まえて、今の若い人はどういう人たちだと思うか、世代が変わってくるとどのような考え方の変化があるのかなどについて議論してもらうのです。
また、若い人たちに上の世代を知ってもらうことを目的とするならば、それぞれの年代別で年表クイズを用意して、歓迎会や忘年会で行うのもおすすめしています。
ポイントは、その時代に何があったのかについて、今の人達でも知っているようなキーワードを取り上げることです。
例えば、今でも活躍している芸能人が当時ヒットしたドラマや、今の社会現象になっているけれど昔からあったものなど、若い人でも想像がつきやすいキーワードを取り上げます。
このようなキーワードを散りばめて年表クイズを作ると、場が盛り上がりやすくなります。
googleなどで検索すれば、何年に何が起きたのかがある程度まとまった情報が得られます。また、過去の流行語などをチェックして気になるキーワードをピックアップしていくと、流行語大賞になったきっかけは今誰もが知っている芸能人の一言だったりします。
このように、年表クイズをお互いに話のきっかけにしていくことをおすすめします。
たったこれだけのことですが、意外と場は盛り上がります。また、そこからお互い話のきっかけを作っていきやすくなります。
この方法は、オンラインで実施することもできます。作ったクイズをpdfファイルにしたり、Wordで作成して穴埋め式にし、ZOOMなどのビデオ会議アプリで画面共有して正解を発表するなどというやり方もあります。
このようなやり方も、ぜひ知っておいてください。
ジェネレーションギャップをうまく利用する
前項で、ジェネレーションギャップの活用方法として年表を紹介しました。このように、ジェネレーションギャップはもっと利用していくべきです。
ジェネレーションギャップを利用するときの基本姿勢は、年齢に関係なく相手から教えてもらうという姿勢です。
例えば私の場合では、学生のインターンシップの方に最近の就活について教えてもらいます。最近の就活では、就活生はどのような情報を見ているのかということや、新入社員にはスカウトがくること、新卒紹介についてなど、自分の時代には考えられなかったようなことが多くあります。
実際にその環境にいる人に実態を教えてもらうと、言葉としては知っていることでも、非常に理解が深まることがあります。教えてもらうというのは、非常に大事なことです。
また、ジェネレーションギャップは、仕事で違う年代の人に応対する時の練習として利用するのもいいでしょう。
若い人の場合、自分の上司と接するのは顧客で年配の人がいた時、その人とうまく接するための知識を蓄えるのだと考えます。大体この年代の人はこんな話題をしがちだとか、このような傾向があるということをあらかじめ知っておけば、コミュニケーションはスムーズになります。
逆に、年齢層が上の方の場合は、顧客先や仕事での関係先に若い担当者の方が来た時、どういうコミュニケーションをすると喜んでもらえるのか、自分のことを受け入れていただけるのかということをあらかじめ知っておけばよいのです。
これはあくまで練習として、相手からそのような情報を引き出していくことが大事になってきます。
ただし、この中でも絶対にやってはいけないことは、年齢のマウンティングです。
中でも「今の若い人は知らないかもしれないですけど」という言葉は、相手があまりいい気持ちになりません。
私も自分が若かった新入社員の頃に、上の年齢の方に言われたことがあります。相手に悪気がないことはわかっていますが、なぜか嫌な気持ちになっていました。
かといって、では自分が今そういうことを全く言わないかというと、やはりぽろりと言ってしまう瞬間があります。
つい言ってしまう心理としては、話や場を盛り上げるためであったり、今の人は別に知らなくても大丈夫な情報であるなど、相手を慮った故ということがあります。しかし、それでもやはりマウンティングだと取られてしまうこともあるため、このような言葉には注意が必要です。
まとめ
ジェネレーションギャップは、防げないものであり、防ぐ必要もありません。
ギャップがあることが悪いのではなく、そのギャップで不快感を感じる人がいるというのがNGなのです。ジェネレーションギャップはむしろ、うまく利用していきましょう。
ギャップがあることは、事実なので仕方がありません。お互い同じ年代を生きてきたわけではないので、共通して知っているキーワードがあり、表面的なところを真似できたとしても、やはり根底にある価値観や考え方が違うのはどうしようもないことです。
どうすることもできないギャップをうまく利用してお互いのことを知ったり、同じ日本に住んで育ったものの年代の差で生まれる違いや、何か事が起きた時に自分の捉え方との違いなど、異なることを楽しむという姿勢が非常に大事です。
今回の記事では、ジェネレーションギャップについて解説しました。ジェネレーションギャップに悩んでない方は、社会人では少ないのではないでしょうか。私自身もまた、ジェネレーションギャップを感じることは少なくありません。
ジェネレーションギャップがあるのは仕方がないことです。そのギャップを埋めるというよりは、どのように利用していくかという観点を持って、上手に活用してみてください。