早期離職対策を行う私たちカイラボには企業の方々から様々な声が寄せられます。 例えば以下のような内容です。
「最近、若手社員の離職が多いが明確な原因がわからない。」
「業界的に離職率が高いが、それでもうちの会社は高すぎると思う」
「自分の会社の離職率が高いのか低いのかもわからない」などなど。
規模の大小を問わず、このような声は多く聞かれます。
これらの課題に取り組む前に、まずは業界別の早期離職率を知っておきましょう。
本記事の要約
業種別の平均早期離職率トップは宿泊・飲食サービス業
厚労省が毎年発表しているデータによると、2015年卒の大卒新卒者の3年以内離職率は31.8%となっています。約3割ですが、当然、業種によって差はあります。
業種別の早期離職率も発表されていますので、下記のグラフをご覧ください。
厚生労働省が発表したデータによると、業種別で早期離職率(大卒新卒者の3年以内離職率)上位3つは以下の通りです。(「その他の業種」を除く)
- 宿泊業・飲食サービス業(49.7%)
- 教育・学習支援業(46.2%)
- 生活関連サービス業・娯楽業(45.0%)
宿泊業・飲食サービス業は49.7%とトップではありますが、6年ぶりに50%を割る水準となりました。
一方、最も低いのは電気・ガス・熱供給・水道業(10.8%)となっています。
電気・ガス・熱供給・水道業が一番低いことを意外と思った方も多いのではないでしょうか。
ちなみに、製造業は19.5%と全体平均と比較すると低い水準になっているものの、製造業の詳細分類では業種による差は大きくなっています。
詳細分類の内容を見てみると、繊維業が36.9%と全体平均の31.8%よりも高い一方、化学工業・石油製品・石炭製品業は13.3%となっています。製造業の中でも業種によって早期離職に差がみられます。
自社の早期離職率が高いか低いかを判断する際、全体平均との比較だけでなく、業種別の平均値とも比較してみることがおすすめです。
早期離職率が高い場合、どんな対策があるのか、カイラボの考えをご紹介します。
早期離職率を下げるためのキーワード「成長予感」
カイラボでは早期離職の要因として大きく分けて以下の3つにあると考えています。
- 存在承認
- 貢献実感
- 成長予感
ここでは、それぞれの要因について説明します。
まず、存在承認とは、上司や同僚とのコミュニケーションのほか定量的・定性的な評価などが含まれます。自分のことを周囲が認めてくれるかどうかという概念です。
パワハラやセクハラなどがある場合も存在承認は下がります。
一般的には「人間関係」や「評価」という言葉で語られることが多い要素です。私たちのこれまでの経験だと、いわゆる不人気業種と呼ばれ、業種別の早期離職率が高い業界は存在承認不足による退職が多い傾向があります。
次に貢献実感とは、自分自身が社会、顧客、会社、チーム、先輩や後輩に貢献できていると思えるかどうかです。
誰に対して貢献したいのかは人によって差があり、社会への貢献を重視する人、顧客への貢献を重視する人など様々です。
上司は会社への貢献を志向しているのに、新入社員は社会への貢献を志向しているようなケースだと新入社員側の貢献実感はあがりにくいこともあります。
また、企業理念や社外的なメッセージは社会貢献や顧客貢献をうたいながら、社内に対しては会社へ(特に売上や利益などに偏った)貢献を求める場合、新入社員はギャップを感じてしまいます。
業種別ではないですが、営業職の方は貢献実感不足によって辞める方が多い傾向があると感じます。営業職が多い職種として、広告などの無形サービスを扱う会社が挙げられます。
そして最後に成長予感です。成長予感とは現在から未来に向けての成長に対する予感です。優秀な若手の退職に悩んでいる企業にとって成長予感は重要なキーワードとなります。
会社が成長して欲しいと思う姿と本人のなりたい姿が隔離していると上司や職場の人は「なぜ優秀なあの人が突然やめるの?」と困惑します。
大企業など労働環境が整っていて福利厚生も充実した企業で優秀層が退職するケースは成長予感不足があるかもしれません。
カイラボの経験上、幹部候補やエリートなどといった優秀な人材や意識が高い新人ほど「成長予感不足」でやめる事が多くなっています。業種別の早期離職率が低い会社で「優秀な若手」という評価を得ていた人が突然辞める場合、成長予感不足を疑ってみたほうがいいでしょう
早期離職対策の第一ステップは自社の振り返りから
業界や個人によって離職理由は様々ですが、自社の早期離職率を改善するためには、まずは「存在承認・貢献実感・成長予感」の3つの観点から自社を振り返ってみてください。